ドクター・ストレンジ マルチバースオブマッドネス【感想】

ドクター・ストレンジ マルチバースオブマッドネスを見てきたので感想を書きたいと思います。Filmarksにも同文を掲載しています。

また、過去作であるMCU27作ドラマシリーズ6作は視聴済みで、漫画アニメ含むその他マーベル作品は未視聴です。

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MCUシリーズ作品28作目にして、「ドクター・ストレンジ」の正統続編であり、実質的な「ワンダヴィジョン」の続編となった今作。公開前は様々な憶測が飛び交ったが、メインヴィランはスカーレットウィッチであった。
今作はMCUシリーズの一作として、サムライミ監督の一作として、原作がマーベルコミックスの一作として評価している声が多いが、一本の映画としても十分に評価できると感じた。単純にかっこいいシーンが多く、一つの映像作品として、前作や事前情報なしでもある程度の満足は得られると思う。
まずはPVにもあった、投げられたバスを切るシーン。事前に観ていたからか衝撃こそ無かったものの、その前後の戦闘を含めて、ストレンジの魅力が詰まった良いシーンだった。そして続くワンダとの再会。ワンダの失言から空気が変わり、「名前はまだ聞いてなかったかしら」というセリフから辺りは一変し既にスカーレットウィッチになっていたことが分かる。このシーンではお互いの発するセリフの、一言一言の重さが直に伝わり、緊迫感があってよかった。ここまでの映像で既に元は取れたと感じる程の満足感があった。他にも、グーパンで別ユニバースへの扉を開けられるようになったり、楽譜、音符を使ったストレンジ同士のバトルなど、絵面だけでも楽しめるシーンが多かった。個人的には、楽譜をモチーフにした音楽バトルは、「ソウルフルワールド」に期待していた音楽を具現化する演出で、こんな演出が見られれば「ソウルフルワールド」の評価がもっと高くなったと思える。
他にも絵面で衝撃を与えるシーンとして、「死」が多く扱われた。序盤ではモブが、かつてアベンジャーズとして戦っていたワンダに簡単に殺されていった。墜ちたサンクタムを進むワンダの後ろに、灰となった死体が転がっていたことには衝撃を受けた。倒した人間を灰にして、わざわざフレームインさせるのは監督の強いこだわりが見えた気がした。他にも、アース836のアベンジャーズ的立ち位置である「イルミナティ」に対しても赤子の手をひねるように、簡単に殺していき、ワンダの脅威がもろに感じられた。ここでの殺し方も、人体を上下に切ったり、爆死、圧死とバリエーションがあって観ていて楽しかった。その後も、足を引きずるワンダに追われるシーンも、いわゆるホラー映画的なベタな演出ではあったが、普段ホラー映画を見ない身としては、新鮮な体験だった。
終盤では、土葬した自分の体に入り込み、悪霊たちを抑え込み、ゾンビの姿で戦うストレンジであったが、ボロボロの体と禍々しい翼は到底ヒーローとは思える姿ではなかったが、その場で使えるものは何でも使いワンダに立ち向かっていく姿はかっこよく映った。最終的には、他のストレンジとは違い、アメリカを信じ「自分を信じろ」と声をかけていたことから、見た目は違っていても心はヒーローだと思わせてくれた。
気になった点としては、ワンダが全ユニバースのダークホールドを破壊したことになっていたが、そのような力がどこになるのか、またはダークホールドにはそのような仕組みがあるのか、そして、そこに行って生きて帰ってきた者はいないというワンダゴア山の重要性など、若干原作知識がある前提の進め方があったことが気になった。しかしながら原作がある以上、実写化された映画を100%楽しむためには原作知識を必要とするのは当然だと考えているため、さほど問題だとは思わなかった。
もう一つ話題になっている点として、ディズニー+限定配信となっている「ワンダヴィジョン」が視聴前提で話が進むというもの。ここまで大きくなったMCUシリーズの一作を見ようと思っている以上、過去作との繋がりがあることは既知のはずで、ドラマシリーズという形態こそ変わっているものの、料金を払い映像作品を見るという本質は変わっていない。むしろ映画より安い料金で現在6作ものドラマシリーズが見られるディズニー+に加入していない、視聴していないほうが悪いので、まったく的外れな指摘だと考える。

映像も展開のテンポもよく、MCU内で5本の指に入るほどの名作であった。一度といわず、二度、三度とみたい作品だ。