チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズを見たので、感想や気づいた範囲での元ネタ、カメオキャラクターを上げていきたいと思います。
感想
filmarksにも同文を記載しています。
本作の映像は実写とアニメーションを混ぜたもので、この手法で描かれた有名作として「ロジャー・ラビット」(1988)や「南部の唄」(1946)が挙げられる。しかし今作がそれらと決定的に違うのは、その技術の進歩である。上記の作品から数十年が経っているため、当然と言えば当然だが、見違えるものになっている。実写の映像に2Dアニメーションを描き込んでいるだけでなく、3DのCGも同居している。さらに、CGと一口に言っても、最新の技術でCG化されたソニックや、2000年代の可動域が狭く不完全で不気味さのあるCGも存在している。最初こそ違和感はあるものの、カメオ登場するキャラクターの多さや、作品のブラックジョークに当てられてすぐに気にならなくなるだろう。
本作の特色としてまず挙げられるのは、ブラックジョークの多さだ。アニメシリーズでチーズが大好物だったモンタリーが、チーズ中毒者になっており麻薬中毒者のように描かれていたり、ピーターパンが順当に年を取り中年になっていたりと、多くのキャラクターを面白おかしく登場させている。その”いじり”はディズニーキャラクターにとどまらず、他社キャラクターであるソニックが、実写化当時SNS等で物議を醸したリアルすぎる質感をネタにされていたりと、とどまる所を知らない。
又、この作品の軸として、ヴィラン集団の目的が「偽造版(海賊版)の作品の撮影、販売で儲ける」というものである。「ズートピア」(2016)などでは小ネタの一つとして登場していたが、これを作品の本軸として利用するのは、海賊版に対するアンチテーゼとしても、かなり挑戦的であると感じた。
もう一つの特色としては、アニメーションのキャラクターが、すべて演者という設定だ。これは「ロジャー・ラビット」や「シュガーラッシュ」などでも使われた設定だが、今回の場合はレスキューレンジャーズとしてのチップ・デール・モンタリー・ガジェット・ジッパーが愛されていたとこもあり、この設定には否定的な考えも多く出てくるように思える。個人的には、役者であったものの演技していた性格が素の本人の性格とかなり近しく、苦言を呈するほどではないと感じた。
ストーリーに限った話をすると、可もなく不可もなく、という印象だった。探偵ものとしてありがちなミスリードであったり、ぎくしゃくした関係の二人が、「チップとデールの大作戦」という共通の思い出を通じて仲良くなったりと、そこまで目新しいものでもなかった。この平坦さを、ブラックジョークやカメオ出演キャラクターの物量でゴリ押ししている作品だった。
作品タイトルには「レスキュー・レンジャーズ」とあるものの、チップとデールに焦点が当たっているため、他の3人はかなり脇役的な登場であった。あの5人の活躍が見たかったという思いも強かったため、少し残念であった。驚いた点としては、上記のピーターパンがヴィランというのもそうだが、ガジェットとジッパーが結婚し、たくさんの子供に囲まれているという事実だろう。ギャグアニメのワンシーンなのでそこまで驚くことはないと言えばそうなのだが、ハエとネズミが交配し、ハエに似たネズミやネズミに似たハエが生まれていたりとかなりの衝撃であった。10年前の自分に「実はガジェットとジッパーは結婚して子供がたくさんいる」と言っても絶対に信じなかったであろう。
この作品自体がチップとデールの大作戦のリブート作品であるにも関わらず、作品のリブートに関して懐疑的な発言も多く見受けられた。これまで数多くの作品の続編やリメイクで「リブート」してきたディズニーだからこその、自虐的で面白いシーンとなっていてよかった。
この作品はディズニーキャラクターに限らず、海外アニメーションに詳しければ詳しいほど楽しめる作品になっていると思うので、知見を広めた後に是非もう一度見たい作品だった。
元ネタ・小ネタ・カメオ出演
気付いた範囲での、登場キャラクターの出典や元ネタを載せていきたいと思います。ディズニー作品は好きですが、すべての作品を網羅している訳でも、海外アニメーションに詳しい訳でもないのでご了承ください。作中での登場順です。(横長の表となっているため、PCやタブレット等で見るか、画面サイズを小さくすると見やすいと思います。)
ライムライン (画面内の構成) 出典作品 キャラクター・元ネタ
00:29 アナと雪の女王 エルサの建てた氷の城
00:32 シンデレラ城向かって左側 アラジン 宮殿
02:13 シンプソンズ
03:20 トランスフォーマー
04:05 フルハウス
04:20 チップとデールの大作戦 OP
06:07 三匹のこぶた ファイファー フィドラー プラクティカル
06:12 ロジャー・ラビット ロジャー・ラビット
06:38 画面左上 チップとデールの大作戦 ニムナル教授
06:52 007
09:10 ステージ最善列 セーラームーンのコスプレ
画面下やや右 ハーレークインのコスプレ
09:22 ソーのコスプレ
09:23 スターウォーズ レイアのコスプレ・カイロレンのコスプレ
09:29 ジャングル・ブック(2016) バルー
09:35 ジャングル・ブック ザ・ベアー・ネセシティ
09:42 美女と野獣 ルミエール
09:48 ソニック
10:12 マーベル ティグラ
11:49 ひつじのショーン
12:28 ちいさいおうち
12:58 リトル・マーメイド フランダー
13:30 アルビン 歌うシマリス3兄弟 アルビン・サイモン・セオドア
16:20 リトルマーメイド 髪すき
19:19 ワイルド・スピード
19:25 ミセス・ダウト
19:29 ストリート・ファイト 春麗
19:34 エイリアンVSプレデター
24:05 スクービー・ドゥー
25:47 カーズ
27:13 フィニアスとファーブ リンダ・フリン
27:22 リトルマーメイド マックス
31:37 CATS
31:41 不気味の谷 CGが人間に近づくとある地点から嫌悪感が増す現象
32:29 ポーラーエクスプレス 2004年のフルCG映画 WB配給
33:32 シュレック
34:19 ピーターパン
35:54 Jasper the Douchebag Ghost(海賊版)
37:50 塔の上のラプンツェル ラプンツェル
38:21 レ・ミゼラブル
40:52 ニコロデオン アメリカのケーブルテレビチャンネル
41:44 ネコ 誘拐のピンチ アメリカ版2話
とんでもベイビー アメリカ版51話
43:11 第45話 危ないスパイゲーム
45:25 スクルージ・マクダック
51:03 不思議の国のアリス トゥイードル・ディーとトゥイードル・ダム
51:06 白雪姫 くしゃみ
51:10 ガーフィールド
54:32 ミッキーの手
60:01 バットヘッド
61:46 マイリトルポニー
62:00 レゴ
62:08 ピーターパン
62:25 マスターズ・オブ・ユニバース
62:41 インディ・ジョーンズ
62:52 ポケモン サトシのコスプレ
62:57 「楽しいことを考えよう」 ピーターパン劇中歌「You Can Fly! 」より
63:01 リメンバーミー ミゲルのコスプレ
63:07 ボルトロン
63:37 ライオンキング プンバァ
65:25 ジャック・スケリントン ナイトメアビフォアクリスマス
65:55 DIP ロジャーラビットに登場したアニメを溶かす劇薬
69:28 ガジェット
69:34 ジッパー
74:23 ディズニー映画定番の花火&BGM
74:57 眠れる森の美女 メリーウェザー
75:30 右足 トイストーリー ウッディ
左手 シュガーラッシュ ラルフ
右手 キラー砲台
アニメシリーズのヴィランであるファットキャットと同じ猫種の顔
75:45 「壊してやる」 レック・イット・ラルフの決め台詞
77:20 アラジン(海賊版)
77:24 ピート
77:45 落ちる垂幕 ジュラシックパークオマージュ
84:37 アラジン アブー(海賊版)
スポンジ・ボブ パトリック(海賊版)
フィニアスとファーブ フィニアス(海賊版)
ウッディー・ウッドペッカー ウッドペッカー(海賊版)
ダック・テイル ランチパッド・マクワック(海賊版)
ライオンキング ザズー(海賊版)
84:47 バンビ バンビ(海賊版)
白雪姫 くしゃみ(海賊版)
84:59 ダンボ ダンボの海賊版(モンタリー)
87:30 A インディジョーンズアドベンチャーのA
S STAR WARSのS
R AVATARのR
88:15 エルモ
88:27 ヴィン・ディーゼル
後記
ざっと数えただけでも100個近いパロディやカメオ出演がありました。それもディズニーだけにとどまらず、かなり幅広い作品を出演させていて驚きました。これだけの作品を作ってくれたことには感謝しかないですし、私の好きな作品である「ロジャー・ラビット」も大切に扱われていた様に思います。ロジャーラビットの続編とも言えそうな内容でしたので、本作が気に入った方は「ロジャー・ラビット」もぜひご覧ください。